公務員試験への転職を目指す人へ自分の経験からノウハウをまとめます。
僕は国家一種と市役所以外の公務員試験を受験し、県庁・国家二種・裁判所事務官に最終合格しましたが、自分には公務員の適正はないと判断し民間企業へ就職しました。
僕が公務員試験を受けたときは就活中でしたが、その後、友人が県庁へ社会人転職する際に合格の手助けをしたこと、兄弟の公務員試験をサポートして最終合格枠1名の合格に貢献したことから、ある程度自分の方法論に再現性はあると考えています。
予備校本や資格学校で教わる方法とは違った角度から合格への考え方を紹介します。
公務員試験はどういうゲームなのか
自分の受験時と人へのアドバイスで強調した点として「相対評価」であることを常に意識するようにということがあります。
相対評価とは、評価される側の成績順位に対して上位5%の人を「S」評価とし、順に上位5~25%の人を「A」、25~75%の人を「B」、75~95%の人を「C」、95~100%の人を「D」といったように、評語・評価点ごとの分布率を示して、評価結果を決めるものです。 by jin-jour
結局、公務員試験は筆記試験も面接も受験者の中から相対的に良さそうな人を選ぶ試験です。周囲の受験者と比較して合格者が選抜されます。
つまり、他の受験者を基準として自分はどの位置にいるか?が大切になります。
受験対策本や予備校では「合格するにはこうしましょう!」ということが、紹介されています。そして、それらはよく試験を研究しており、とても合理的な攻略方法です。
その中で「相対評価」を意識するというのは、合格席を争うライバルも必勝法は抑えてくると考えるということです。
同じ戦略で対策すると、けっきょく最後は根性勝負や勉強時間をどれだけ作れるのか勝負になってしまうでしょう。忙しい社会人は不利になります。
つねに、他の大多数の受験者はどうする?それを超えるにはどうする?
という問いを抱えて試験対策をすると、相対評価での勝率を上げることができます。
一生懸命に試験対策をする前に「競争相手」についても考えを巡らせましょう。
筆記試験で「競争相手を考える」とは
上で説明した「相対評価」を意識すること、「競争相手」について考えることについて具体例を交えて説明します。
どこで差をつけるか?
公務員の筆記試験範囲は「深さ」はともかく「広さ」が特徴。全ての科目を完璧にすることは不可能だといわれています。
しかし、だからこそ作戦勝ちする余地がある。
他の受験者を意識して「差をつける」部分はどこかを考え抜きましょう。
予備校本で大切なポイントだといわれる部分は多くのライバルも得点源にしてきます。
そこを基準にして、それを上回れるようにする戦略が大切。
勉強をしながら各科目の得意度や試験当日に到達できそうなレベルを意識して、力を入れる科目を決めましょう。
重要ではない科目を戦略に組み込む
僕の場合、競争相手から抜き出るために重要分野ではない科目を積極的に得点源に取り入れることを意識しました。ここは巷に溢れている対策本とは大きく異なる部分です。
簡単に例えると、法律科目の行政法は得点源になるといわれていますが、そこはみんな抑えると想定して、捨て科目ともいわれる刑法もがっちりやるという発想です。
みんなが勉強する科目は猛勉強しても差になりません。
しかし、重要ではない科目・難しいなら捨てて良いといわれる科目は「差をつける」には最適な箇所でもあることは忘れないようにしましょう。
「捨て科目といわれているから、この科目はいいや」と多くの人が考えます。
勉強に使える時間や得意科目は個々で異なるため、自分自身にオーダーメイドな戦略を考える必要があります。競争相手を想定して勝てる科目戦略を立てましょう。
学生は根性勝負に偏る傾向があるため、社会人は違う戦略で取り組みましょう。
面接試験で「競争相手を意識する」とは
面接は自分の強みや動機など、自分自身にだけ視点が行きがちですが、ここでも競争相手の姿を意識して戦略を立てることは大切です。
競争相手を意識すると、面接対策の戦略も違ってくるはずです。
希少性を演出する
面接のテクニックとしては"希少性"を演出することも一つの方法です。
僕は裁判所事務官の試験にも合格しましたが、正直一次試験はギリギリ通過だろうな…という程度の手応えでした。
一次試験は下位順位での通過であれば、最終合格するには自分より上位を何人かを抜き去る必要があります。
そこで、面接官も合格者を選ぶ際には人材にいくらかの幅を持たせたいと考えるはずだと仮説を立てて"希少性"の演出に力を入れることにしました。
どういう戦略で希少性を演出したのか具体的に説明します。
僕は地元の裁判所で面接試験を受けました。
他の受験生は地元の国立大学の成績上位層が多数派で、合格者には真面目な、悪くいうと"勉強タイプの硬い人"が多い傾向がありました。
そこで、自分はそことは少し違うタイプの人間、"体育会系"であることを強調し、目立つために民間への就活を行っているため裁判所は第一志望ではないことなど、"民間企業向きなタイプ"だと演出しました。
向こうがどう受け取ったのかは完全には把握できませんが、面接官の一人に「君と働きたいと感じました。」という言葉をもらい、最終合格後の成績開示を行うと面接試験で順位を大きく上げていることがわかりました。
これは、三振かホームランかの大振りが上手くいった事例ではありますが、競争相手と自分の位置を意識し続けていたからこそ勝ち取れた合格です。
念のため付け加えると、一次の筆記試験に自信があれば減点だけを避けるような面接という戦略が無難になるでしょう。
公務員試験で戦略を考える人は少ない
公務員試験を受験する上で猛勉強する真面目な人はたくさんいます。しかし、競争相手を意識して"どう勝つか"を考える人は多くありません。
だからこそ、工夫による差が大きくなります。
自分一人だけで"努力"するのではなく、周囲を意識しながら取り組むことで合格率を上げましょう。時間のない社会人受験生であればなおさらです。
この記事が、社会人から公務員転職を目指す人の参考になれば嬉しく思います。